2021年3月に核兵器禁止条約が議論された国会質疑をリサーチしました。その結果、以下の発言が2件見つかりました。(「国会会議録検索システム」にて、「核兵器禁止条約」と入力し、検索を行いました。)ご紹介します。(引用は要旨)

第204回国会 参議院 予算委員会 第12号 2021年3月17日
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井上哲士参議院議員(日本共産党):核兵器禁止条約は、人類史上初めて核兵器を違法とする国際法として生まれた。私は、広島で育った被爆二世として、被爆者の訴えが世界を動かす瞬間を目の当たりにした感動を忘れることはない。NATO加盟国のベルギーでも国民の77%が条約参加に賛成するなど、世界で支持が広がっているが、唯一の戦争被爆国として日本こそ参加するべきではないか。

茂木敏充外務大臣:我が国は、唯一の戦争被爆国として国際社会の取組をリードする使命を有しており、核兵器禁止条約が目指す核廃絶というゴールは共有している。一方で、その実現には核兵器保有国を巻き込んで核軍縮を進めることが不可欠であり、現状では、核兵器禁止条約はどの核兵器国からも支持を得られていない。また、我が国周辺には北朝鮮の核・ミサイル開発など不透明、不確実な要素が存在し、軍事活動の活発化の傾向も顕著だ。我が国の安全保障を確保するためには米国による核抑止力は不可欠で、核兵器禁止条約は抑止力を否定している。ベルギーを例に挙げられたが、東西冷戦下でSS2が自分に向けられているときにNATO加盟国がそのような動きをしたかというと、私はそれは違うと思う。現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切で、我が国として核兵器禁止条約に署名する考えはない。

井上議員:これまで政府は、核兵器について人道主義の精神に合致しないものではあるが、実定国際法に違反するとまでは言えないと答弁をしてきたが、この考えは変わりないのか。

本清耕造外務省軍縮不拡散・科学部長:核兵器の使用は、その絶大な破壊力や殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないと考える。一般に、条約が拘束力を有するのは当事国に対してのみであり、第三国に対しての拘束力は有しないと考えている。また、核禁条約は核兵器国等多くの国が締結しておらず、その内容が直ちに慣習国際法化するとは考えていない。

井上議員:確かに、条約が拘束力を持つのは締約国だけだが、核兵器を違法とする国際的規範が生まれたことは、核保有国に対する道義的、政治的圧力になる。非人道的兵器を禁止する条約が非締約国にも影響を及ぼしているということについてどう認識しているか。

茂木大臣:兵器の戦略性等々を考えたときに、対人地雷、そしてクラスター弾と核兵器は同じレベルでは比較できない問題だと思っている。

井上議員:非人道的兵器を禁止する条約により、世界でダイベストメントの動きが広がっているが、ダイベストメントが及ぼす影響をどう評価しているか。

茂木大臣:それぞれの捉え方がある。慎重に検討したい。

井上議員:NATO加盟国や日本、韓国などの大統領、首相、外務大臣、防衛大臣経験者56人が昨年9月に、核戦争の危険を訴えるとともに、核軍縮を進めて核兵器禁止条約に参加するよう呼びかける公開書簡を発表したが、どう受け止めたか。

茂木大臣:書簡は拝見したが、パラ4(本文はこちら)に関しては私の理解力を超えるところがある。

井上議員:イギリスが、保有する核弾頭の上限を引き上げる方針を発表した。NPT条約第6条の核軍縮義務に明確に違反するが、大臣はどのように考えているか。

茂木大臣:報道は承知している。イギリスからこの方針に至った背景について説明を受け、事実関係を把握した上で検討したい。

井上議員:これほど明確なことに核軍縮義務違反と言えないようで、どうして橋渡しと言えるのか。核兵器国が核兵器の廃絶の義務をきちんと守らないことが、多くの国々がNPTを補完する形として核兵器禁止条約を作ったと、改めて浮き彫りにしている。結局政府は、抑止力を主張するが、核抑止力というのは、結局核兵器の使用が前提だ。いざというときには核兵器を使って広島、長崎のような非人道的な惨禍を繰り返すことをためらわないということだ。とりわけ核兵器の非人道性を身をもって体験した被爆国の日本の政府が、非人道的兵器の抑止力に頼るという立場を取ることが許されるのか。

茂木大臣:核抑止力について、必ず使用するという前提の概念ではないと考えている。

井上議員:しかし、日本はオバマ政権が核兵器の先制不使用宣言を検討した際に反対したのではないか(参考記事はこちら)。日本は核先制不使用に賛成だと明確に言えるのか。

茂木大臣:まず、日本は核保有国ではない。その上で、日本として、抑止の観点から米国の核に依存をするという形になるので、当然相談をしていくことになる。核兵器の使用、これは絶大な破壊力や殺傷力ゆえに、国際法の思想的基盤である人道主義の精神に合致しないと考えている。


第204回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号 2021年3月30日
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浅田均参議院議員(日本維新の会):NPT維持強化にどう取り組むのかは非常に重要な問題だ。核兵器禁止条約を横に置いておいて、NPT体制を新たにするということで、政府が言う核保有国と非保有国の橋渡しができるのではないかと我が党は考えている。NPT体制の維持強化にどう取り組むのか。

本清耕造外務省軍縮不拡散・科学部長:NPTは国際的な核軍縮・不拡散体制の基礎で、我が国はNPT体制の維持強化を重視している。現在、核軍縮の進め方をめぐる各国の立場には大きな違いが見られる。この中で、各国がともに取り組める具体的措置を見出す努力を続けていくことで、本年8月に開催が見込まれるNPT運用検討会議に向けた機運を高めていくことが重要だ。具体的には、国連総会への核廃絶に向けた決議案の提出や、核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の開催、核軍縮の軍縮・不拡散イニシアチブを通じて外相共同声明の発出などを行っている。NPT運用検討会議で成果を出すべく、引き続き国際的な議論をリードしていく。

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