核兵器禁止条約発効後、初めての8月6日、9日を迎えた今夏。広島・長崎への原爆投下から76年が経ちました。各党や国会議員はどのようなメッセージを発したのか、まとめました。核兵器禁止条約への認識や、来年開催予定の締約国会議へのオブザーバー参加が注目されますが、代表談話などから、それぞれの政党の立場が明確に表れていました。
政府・政党
〇政府
首相の式典挨拶(核兵器禁止条約への言及はありませんでした)
広島 / 長崎
〇自民党
終戦記念日にあたっての党声明(8月15日)
「日本は戦後一貫して平和国家としての歩みを続け、歴史と謙虚に向き合い、戦争の悲劇と被爆の実相を語り継いでまいりました。この歩みをこれからも変えることなく、今後も国際社会の先頭に立ち、恒久平和の実現に貢献していくことこそが、わが国の使命であります」
〇公明党
【主張】あす「原爆の日」 核禁条約の下で廃絶をめざす(8月5日)
「…核軍縮の遠い先に廃絶を見るだけの考え方では不十分である。なぜなら、核禁条約が画期的な内容を含んでいるからだ。…公明党は将来の批准をめざし、その環境整備をするよう求めている。唯一の戦争被爆国として何もしないわけにはいかないからだ。…まずは、来年開催予定の核禁条約締約国会合にオブザーバーとしてでも参加する必要がある」
〇立憲民主党
代表談話(8月6日)
「…また、本年1月、核兵器禁止条約が発効しました。…私たちは、世界の核廃絶への歩みが新たな段階に到達したことを認識し、政府に対して、まずは同条約の締約国会議にオブザーバー参加を求め、核保有国と非核保有国の橋渡しを全力で努めるよう求めて参ります」
代表談話(8月9日)
〇日本維新の会
代表談話、党としての声明などは、確認できませんでした。
〇日本共産党
終戦記念日にあたって(8月15日)
「国民の圧倒的多数が、核兵器禁止条約への署名・批准を求めています。しかし、菅政権は唯一の戦争被爆国の政府でありながら、この期に及んでも「核抑止力」に固執して被爆者・国民の悲願に冷たく背を向け続けています。菅政権を倒し、核兵器禁止条約に参加する政府をつくるため、日本共産党はこの問題でも、市民と野党の共闘をさらに発展させるため全力をあげます」
〇国民民主党
代表談話(8月6日)
「「原爆の日」にあたり、私たちは、唯一の戦争被爆国として、国際社会の先頭に立って、核軍縮・核兵器廃絶を訴えていく覚悟を新たにします。そして、非人道的な核兵器の惨禍を二度と繰り返さないよう、政府に対して、署名、批准が可能となる条件等について国会等で真摯な議論をかさねること、また、第一回締約国会合にオブザーバー参加し、核軍縮の前進のために保有国と非保有国とをつなぐ架け橋としての役割を果たすことを求めます」
代表談話(8月9日)
〇社会民主党
談話(8月6日)
「「核と人類は共存できない」というメッセージを世界に発信し続け、核のない世界の実現に向けた取り組みを先頭に立って担うことは唯一の戦争被爆国である日本の使命であり、アメリカの「核の傘」の下で沈黙を貫くことは国際社会に対して恥である。社会民主党は…条約への署名・批准を必ず実現するために奮闘する」
談話(8月9日)
〇れいわ新選組
代表談話(8月6日)
「私たちれいわ新選組は、みなさんと力を合わせて「核廃絶」の先頭に日本が立ち、全ての被爆者が救済される政治を進めることを改めて約束いたします」
代表談話(8月9日)
国会議員
〇自民党
富岡勉衆議院議員(7月29日、ツイッターより)
「昨日「原子爆弾被爆者救済及び核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を推進する議員連盟」として首相官邸に伺い、菅義偉総理大臣へ「黒い雨訴訟に対する控訴断念に関して」感謝状を届けました。また、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加についても申し入れを行いました」
寺田稔衆議院議員(8月5日、討論会「核兵器禁止条約締約国会議とNPT再検討会議に向けて」より)
「…我が国が、核保有国の理解を得つつ、核兵器禁止条約締約国会議に何らかの形で参加する土壌ができつつある。唯一の戦争被爆国としての被爆の実相を発信できる立場にある。我が国は調整役としてその立場をより深めてほしい」
〇公明党
山口那津男代表(8月5日、討論会より)
「核兵器禁止条約に対する公明党の基本的な考え方は、当面オブザーバーとして参加して、唯一の被爆国としての積極的貢献を果たす。中長期的には、条約に批准できる安全保障環境を作り出していくということにある」
斉藤鉄夫副代表
「どこまでも被爆者の皆さまに寄り添い、進んでいくことを確認し、核禁条約の締約国会議に「日本がオブザーバー参加すること」を強く訴えました」(8月5日、ツイッターより)
「私個人としては、日本は核兵器禁止条約に署名・批准すべき」(8月12日、カクワカ広島との対談より)
浜田昌良参議院議員(8月5日、討論会より)
「核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加など、政府の積極的な取り組みを期待したい。特に賢人会議の成果はユニークな取り組みだ。核抑止に代わる安全保障論議を呼びかけている。クメント大使にも参加いただき今年の秋にも賢人会議を開催するなど、日本政府の心の橋渡しの取り組みを期待したい」
矢倉克夫参議院議員(8月9日、ツイッターより)
「長崎原爆の日 核兵器禁止条約へのオブザーバ参加を。核兵器廃絶に向け、まず核兵器の禁止を決め、そこから必要となる検証制度などの議定書を作る。このゴールからのアプローチが、日本のとるべき方法論。条約はそのための出発点。貢献し関わることが責務です」
伊藤渉 衆議院議員は、自身のブログで、討論会の様子を発信しています。
また、公明党議員の動きも、「ニュース」として、複数発信されました。
締約国会合、積極的に貢献 広島市の討論会で山口代表(8月6日)
広島の平和集会で訴え 斉藤副代表(8月6日)
広島の原爆慰霊碑に献花 山口代表、斉藤副代表ら(8月6日)
長崎の平和集会で訴え 秋野氏(8月9日)
〇立憲民主党
枝野幸男代表(8月5日、討論会より)
「日本政府は、核兵器禁止条約締約国会議のオブザーバー参加について、具体的かつ目に見える形での努力を示すべき。そのことを強く求めていく。唯一の被爆国として被爆者の辛い経験を世界に発信することで、橋渡しが可能になる」
「私はオブザーバー参加と日米同盟の関係は矛盾しないと考えている。日本は唯一の戦争被爆国としての立場としての発言は、アメリカも納得するはずである。早急に、アメリカとの交渉に入るべきである」
海江田万里衆議院議員(7月16日、首都圏議員面会プロジェクトnoteより)
「(核兵器禁止条約について)日本は唯一の戦争被爆国であるから、世界的にも批准には大きな意味がある。いまからでも遅くはないので、批准すべきだ」
森山浩行衆議院議員(7月19日、ツイッターより)
「唯一の戦争被爆国である日本政府もせめて「(日米安保と両立する)オブザーバーからでも」のお誘いに応えるべき」
早稲田夕季衆議院議員(7月21日、ツイッターより)
「核兵器禁⽌条約を⼀⽇も早く批准し、世界の⾮核化にリーダーシップを発揮」
森本真治参議院議員(8月6日、ツイッターより)
「ICAN国際運営委員の川崎哲さんを講師に「核兵器禁止条約の意義と日本の役割について」勉強会も行い、私から衆院選で党の公約として核兵器禁止条約への参加を掲げるよう、県連からの申し入れを提案しました」
*翌日の県連幹事会で、党本部に要請することが決定されました。(8月8日、中国新聞)
田島麻衣子参議院議員(8月9日、ツイッターより)
「唯一の被爆国として、核兵器禁止条約への署名・批准と、第1回締約国会議へのオブザーバー参加を、私も働き続けて参ります」
〇日本維新の会
鈴木宗男参議院議員(8月5日、討論会より)
「核兵器禁止条約について、特に締約国会議にはオブザーバー参加すべきというのは党の基本方針だ。唯一の被爆国として、あってはならない戦争が行われ、使ってはいけない核兵器が使われた厳粛な事実をしっかり述べるというが日本の立場である。これが日本維新の会の考えだ」「与党、野党の立場を超えて、核兵器廃絶に向けて被爆国としての日本の重要な発言をするのがオブザーバー参加である」
〇日本共産党
志位和夫委員長(8月1日、ツイッターより)
「日本世論調査会の世論調査。核兵器禁止条約への参加—「参加するべき」71%。締約国会議への出席—「出席するべき」85%。唯一の戦争被爆国の政府が背を向け続けていいのか?総選挙で政権交代を実現し、核兵器禁止条約に参加する政権をつくろう!」(8月1日、ツイッターより)
「核兵器禁止条約に明記されているように、世界のヒバクシャへの支援・救済が必要です」(8月1日、ツイッターより)
「日本政府が核兵器禁止条約に速やかに署名、批准することを強く求める。…核抑止論とは、いざとなれば広島・長崎のような非人道的惨禍を起こすことをためらわないという議論である。核兵器の非人道性を批判するのであれば、そこから抜け出す必要がある」
「政府は核兵器禁止条約に参加しない理由として、法的理由ではなく政治判断であるとしている。…日米安保条約のもとでも、核兵器禁止条約に参加することは可能だ」(8月5日、討論会より)
〇国民民主党
玉木雄一郎代表(8月5日、討論会より)
「オブザーバー参加はすべきだ。我が国が、ただし実効的に参加できるのかチェックをするべきだ。橋渡しの機能を果たしていくためにもオブザーバーとして参加して、しっかりと発言すること。保有国と非保有国の分断とともに非保有国の中に分断を生まないことが重要だ」
「オブザーバー参加に発言権があるのが明確に聞けたのが前向きなステップだ。負担金については、少し安くしてほしいが。…私は持論として、仮に抑止論に立っても核軍縮は可能であると考えている」
玉木代表がそれぞれの式典に参列した様子も、党の「ニュース」として発信をしています。
広島 / 長崎
〇社会民主党
福島瑞穂党首
「社会民主党は、唯一の戦争被爆国である日本は、核兵器禁止条約に批准すべきであるとの立場だ。…せめて来年1月に開催予定の第1回締約国会議にオブザーバー参加すべきであり、それを強く求める」(8月5日、討論会より)
「核兵器廃絶のためにがんばります。核兵器禁止条約を批准すべきです」(8月6日、ツイッターより)
〇れいわ新選組
舩後靖彦参議院議員(8月5日、討論会より)
「唯一の戦争被爆国の日本が、世界最大の核保有国である米国の顔色を伺って、核兵器禁止条約に参加しないことは不名誉なことだ」
以上です。その他に情報をお持ちの方は、議員ウォッチまでお知らせください。