議員ウォッチ47 九州編 完走!

2022.11.30

議員ウォッチは、来年3月までに、各地元団体(パートナー団体)とタイアップして、メンバー(主に大学生)が47都道府県を訪ねるキャンペーン「議員ウォッチ47」を始めました。

四国編・近畿編に続き、第3弾は「九州編」です。リサーチャーの中村涼香と議員ウォッチャーズが訪ねます!パートナー団体の協力の下、各地で県知事らとの面会、イベント、地域の方との交流が予定されています。

【九州編スケジュール】*随時更新

第10回 
【12月7日】福岡県
19:30〜 ピースボートセンター福岡イベント参加

【12月10日】長崎県
13:30〜 長崎平和推進協会主催イベント「〜核兵器廃絶にむけて長崎からできること〜」参加

【12月12日】長崎県
11:00〜 長崎県国際課 面会
13:00〜 記者会見

【12月13日】熊本県
14:00〜 熊本市議会議員(数名)と意見交換会(@熊本市役所)
15:30〜 熊本県議会議員(数名)と意見交換会
18:00〜 熊本被爆二世の会・高校生平和大使 交流会(@熊本市国際交流会館)

【12月14日】鹿児島
14:00〜 鹿児島市国際課 面会

【12月15日】
11:00〜 記者会見
13:00〜 鹿児島県議会議員 面会

【12月16日】鹿児島(種子島)
午前中 西之表市議会傍聴

【12月17日】鹿児島
13:00〜 鹿児島被爆二世の会 ・鹿児島市議会議員と意見交換会(@被爆者協議会事務所)
18:00〜 社会問題を交差的に考える勉強会×意見交換会(@鹿児島国際交流センター)

【12月19日】佐賀
16:00〜 鳥栖市議会議員 面会

【12月20日】福岡県
15:30〜 福岡市議会議員 会合(@福岡市役所)
18:30〜 「核兵器のない世界をつくるために、私の町から始める社会アクション」イベント(@ももちパレス)
イベント詳細はこちらから!


現地活動報告 *随時更新

【12月7日】福岡県
九州入りして、一番最初にピースボートセンター福岡の方々、約10名
と交流しました。
ピースボートに乗船するためにボランティア活動を頑張っている10代、20代の皆さんと「核兵器って何?」というところから一緒に考えました。確かな手触りを持って世界を見据える皆さんと核兵器についても考えることができ、有意義なインプットの時間となりました。


【12月10日】長崎県
長崎平和推進協会主催で「〜核兵器廃絶にむけて長崎からできること〜」のイベントが開催され、代表の川崎哲と共にリサーチャーの中村涼香が登壇しました。会場には100名程度が集まり、イベント終了後には長崎で活動するユースの皆さんとの交流会も開かれました。

講演で、川崎からは、核兵器禁止条約の締約国会議やNPT再検討会議の様子を振り返り、核兵器廃絶にむけた連帯の重要性について言及されました。


中村は、KNOW NUKES TOKYOの取り組みについて紹介し、市民と国家が一緒に国際規範を運営していくプロセスが大事だと語りました。

その後、県内の大学生など、平和活動を続ける若者との交流会がありました。限られた時間でうまく相手に伝える工夫や、情報発信のうえでの苦労などが話題に上がり、今後の連携に向けた動きも見られました。

イベントには約150人が参加し、会場では感想や質問が多く飛び交ったのが印象的でした。「変化の一歩は身近な地域から。」長崎でもその精神が再確認された会となりました。

 

【12月12日】長崎県
長崎県国際課の皆さんとお会いしました。
長崎県として行っている平和推進のための取り組みをお聞きし、これから私たちと協力できることなどについて、予定時間を越えて双方向にお話しすることが出来ました。


今年8月に県知事として初めて、NPT再検討会議への渡航を実施した長崎県。来年5月のG7サミットのための保健相会合の開催地でもある長崎は、被爆地としての役割にどうコミットしていくのか注目されています。

核兵器禁止条約の6条と7条に定められている「環境回復・被害者支援」は、特に被爆地・長崎がコミットしやすい議題であることなどを提案しました。

お話ししたのは、主に以下のポイントです。
・新しい平和教育
・触れる、考える機会の創出
・G7にむけた取り組み
・若者の人材育成

このあと午後から、県政記者室で記者会見を行い、面会の様子や議員ウォッチ九州編の進捗についてお伝えしました。

報道はこちらからご覧になれます。

 

【12月13日】熊本県
熊本市議会議員の皆さんと面会しました。

市民連合から5名の熊本市議会議員の皆さんが面会に応じてくださいました。熊本市として、核兵器についての行政による直接的な取り組みが少ないことや、党派による改革の難しさなどの声も聞かれました。熊本市議会では意見書は否決されています。


一方で、熊本では党派制に関わらず、より小規模な町村を単位として、草の根的な動きがしやすいことも分かり、意見書採択に向けた可能性も見えてきています。

そして、意見書採択の自治体数を増やしていくことではなく、あくまで核兵器のない世界を目指すことを見据えて活動していく必要性について再度、言及がありました。

熊本では現在、710名の被爆者が暮らしています。そうした中、被害者支援が十分に行われていない現状もあります。引き続き、地方議会での核兵器廃絶や被害者支援に関する動きをウォッチして発信していきます!

同日午後、立憲民主党連合から県議会議員の4名とお会いしました。


熊本県議会では、熊本自体に関係の深くないもの、また外交に関わる意見書が扱えないようになっているとのことでした。したがって、核兵器廃絶に関する意見書については、採択まで漕ぎ着けていない状況にあるそうです。

一方で、ロシアの軍事侵攻についての決議が行われた例はあるということで、それらのホットトピックを熊本の問題に結びつけながら働きかけていくことができる、という認識を確認しました。

また熊本県議会では、所属議員49人中、女性議員は1人のみ。与野党やジェンダーにおけるパワーバランスに関して課題があることも分かりました。

この日、お昼に熊本市役所で記者会見を行い、地方自治体から核兵器廃絶を訴えていくこと、4月の統一地方選に向けた争点づくりも視野に取り組んでいくことをお話ししました。

夕方18時ごろからは、熊本県で活動している高校生平和大使、高校生一万人署名活動の皆さんと意見交換会を開き、鹿児島県で気候変動問題に取り組んでいる中村涼夏さんも同席しました。

【12月14日】鹿児島県
12月14日、鹿児島市役所で総務課 公平委員会の方々とお会いしました。

はじめに、鹿児島市平和都市宣言がなされた(H2.2.26)鹿児島市の平和行政について、資料とともに説明がありました。

毎年、原爆パネル展の実施や平和学習などを通して、平和啓発事業・周年記念事業が積極的に行われています。

鹿児島市では、今年9月26日(核兵器廃絶のための国際デー)に意見書が出されました(未採択)。また、現職の市長は議会答弁の中で、核禁条約や国際社会の平和について言及しています。

現状、鹿児島では被爆者の声が直接聞ける機会は少ないとのこと。そこで、私たちと連携して核兵器について現代との繋がりを持って、今の軸で考えられるような機会を創出することをお話ししました。

 

【12月15日】鹿児島
鹿児島県議会の議員、7名にお会いし、円卓を囲んで1時間強にわたり、意見交換を行いました。

長崎にルーツのある方や、被爆証言の継承・核兵器廃絶に関して働きかけをされた経験を持つ方も数名おられました。各人のお話しの共通点は、長崎と鹿児島の温度差について。

対話の場がないことや、日常の課題が政治に繋がっている感覚を持ちにくいこと。また、それらに対してアクションを起こす若者がいる一方で、諦めムードになってしまう世代層もあるとのことで、地方議会の存在意義が問われています。

今回も、鹿児島県内で気候変動問題に取り組んでいる中村涼夏さんも同席のうえ、日常の課題を地方自治に繋げ、共有するための、規模感を語り合う場所が必要であることを確認しました。

また、鹿児島県内では特に、東北・南など地域による取り組みに不均衡があることも課題に挙げられました。そうした課題に向き合う旗振り役が求められています。

市民の意向を真摯に反映するべき地方議会でできること。熱意のこもった意見交換の時間となりました。

 

12月15日】種子島

12月15日夕方、高速船トッピー・ロケットで種子島に向かいました。

西之表市議の宇野裕美さんと、屋久島で馬毛島基地建設問題のドキュメンタリー映画を撮る、川村貴史さんのお迎えで、島内を案内していただきました。(写真中央 馬毛島)

現在、種子島から約10㎞に位置する「馬毛島(まげしま)」に、自衛隊基地を建設して米軍の空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)を移転する、という計画があります。

この整備計画については、様々な観点から、激しい議論が行われてきました。

島内の暮らしの変化や貴重な島の自然環境の破壊、野生動物の生息、経済、治安などの面を懸念し、反対や不安を抱える島の人の声を無視して工事が始まりそうな状況です。

 

私たちの国の未来が「戦争をできる国」で本当にいいのでしょうか。進められようとしている軍事化の現場を通して、「防衛」について考え、軍事でなく平和的な方法での解決方法を考えます。

核兵器の問題に取り組む議員ウォッチと、鹿児島県内で環境問題に関わる活動家、そして現地での基地建設問題に向き合う種子島の人々に出会いました。

この後の記事で、種子島の様子についてお伝えしていきます。

 

【12月16日】種子島

12月16日、令和4年第4回西之表市議会定例会の最終本会議を傍聴しました。

西之表市(種子島)議会では、基地建設を後押しする「米軍再編交付金」を積み立てる基本条例について議論され、その最終的な決定がこの日に行われます。

賛成・反対それぞれの立場から主張が展開されました。

反対派から、宇野裕美議員が「他率従軍になりうる。再編交付金でお金が回っても、社会は回らない」と述べました。

一方の賛成派からは「日米で手を組んで防衛するため、馬毛島のFCLPこそ必要」という意見が出ました。

結果、賛成7反対6で、再編交付金の基本積み立て条例が可決されました。

計画に反対の立場で当選した、西之表市長ですが、再編交付金は市内の小中学校の給食費の無償化に使うとしています。

報道はこちらからご覧いただけます。

 

【12月17日】鹿児島

12月17日午後、鹿児島市内にある被爆者協議会の事務所にて、被爆二世の会の皆さんと鹿児島市議会議員の竪山さんとお会いしました。

竪山さんからは議会に提出した請願書の内容と経緯を共有していただき、議会でどのようなやり取りが行われたのかを伺いました。請願は採択されませんでしたが、竪山さんを中心にさらに核兵器禁止条約への理解を深めていけるよう働きかけを継続するとのことでした。

そしてその後、鹿児島の二世の会の皆さんも含めて2時間ほど現在の国際情勢や日本の役割について意見交換を行いました。軍事化がエスカレートする社会に危機感を感じる、どうして日本が先頭に立って核兵器禁止条約を推進できないのか、といった声があがりましたが、やはりこうした状況下だからこそ、市民が今まで以上に連携して政治を動かしていく重要性が増していると互いに改めて確認しました。引き続き、情報を共有しながら一緒に動いていきましょう、と話して会は終わりました。

(話が盛り上がり、皆さんと写真を撮影するのを失念してしまいました。また次回、お会いした時にぜひ撮りたいと思います)

 

同日夕方、鹿児島市内の会場で、若者意見交換会を主催していただきました。

はじめに能條桃子さん、中村涼夏さん、中村涼香がスピーカーとなり、それぞれが取り組んでいる社会運動について紹介しました。

能條さんは女性政治家を増やす取り組みについて、中村涼夏さんは環境活動やCOP27への渡航などについて、中村涼香は議員ウォッチや核兵器廃絶運動について話しました。

各社会問題についてのインプットの後は、スピーカーと参加者7人がローテーションで小グループに分かれて、ディスカッションを行いました。


グループでは、それぞれの活動での悩みや抱えていることを共有し、社会問題との関わり方についてフランクに話し合われました。

若者の階層化や選挙期間外の政治との向き合い方、専門家と個人の活動の違いなど、興味深いトピックが参加者から相互に出されました。

それぞれの社会問題の交差性について再認識でき、普段自分たちが関わらない分野について知る有意義な時間となりました。

【12月18日】佐賀

鳥栖市議会議員や市民のみなさんが市内の公民館に集い、意見交換の時間を持ちました。

私たちの活動をお伝えしたあと、鳥栖市の核兵器に対する意識や、市内での時事課題について双方にお話ししました。

佐賀県は、核兵器に関する意見書の採択率が極端に低い傾向にあります。これについて与党の議員からは、外交関係の書類は県の判断の影響が大きいため、という返答がありました。

そして、鳥栖市内では地域の課題に対する意識が向いていても、どうしても核兵器や原爆に関する情報に触れる機会や問題意識が広まりにくい現状があることも伺いました。

また、鳥栖市内の小中学校では8月9日が登校日に設定されていないという指摘がありましたが、長崎・鹿児島(知覧)への修学旅行や、市の事業などで平和学習の機会が複数用意されているそうです。

しかしながら、市民から市政への働きかけはあまりポピュラーではなく、各党の議員の力量に左右される、との事でした。市民として市役所に要請に行った際に、行政と市民の問題意識にズレが生じていることに衝撃を受けたという方もいらっしゃいました。

鳥栖市議会には女性議員が5名。女性議員に投票した有権者「市民の心が安定した状態で一緒に市政を盛り上げていくのが一番大切だと思っている。その志に共感して応援した。」

この日にお会いした議員の皆さんは、「常に未来のビジュアルを描きながら、考えるのは難しい。議員と市民の皆さんの意識と意志があってこその政治ですから。」とお話しされました。

引き続き、連携していきたいと思います。

 

【12月20日】福岡

20日お昼過ぎ、福岡市役所議会棟にて、福岡市議会議員の皆さんとお話ししました。

福岡市議会では、2017年に社民党の実案で市民クラブが提出した「核兵器禁止条約への参加を求める請願」が採択されました。野党側でのすり合わせを何度も重ねて実現したと言います。この時点では、日本政府としての立場表明が明確ではなかったこともあり、その後の文書提出の際には、細かい文言のニュアンスで苦労が多かったそうです。

また、平成元年に平和都市宣言をしている福岡市ですが、「非核」の文言が入っていない事から、福岡市の被爆者や、降雨構成平和大使などが議会請願をしているものの、残念ながら採択まで漕ぎつけていません。

教育に携わっていた方も多く、平和教育に関する話題が多く上がりました。

福岡空襲や長崎原爆に関する平和学習の機会は年々減ってきているという声もありました。

先生の負担に個人差があり、教材づくりに四苦八苦したりと、均等で上質な平和教育を継続させることが難しいようです。私たちからは、修学旅行の事前事後学習などを通して協働できることを提案しました。

福岡市内の平和教育の現状や移り変わりについて伺うことができ、今後の連携に可能性が見出せた面会となりました。

(今回の福岡編では、元糸島市議会議員の藤井さんにアテンドしていただきました。出会いを繋げてくださり感謝いたします!)

 

同日夜、福岡市内で、「核兵器のない世界のために、私の町から始めるアクション」と題して、トークイベントを主催していただきました。

冒頭40分ほど、私たちから議員ウォッチの紹介とウィーン渡航の報告をしました。

その後20分、グループに分かれて、今の国政に思っていることを話し合いました。市民レベルで政治にアプローチできることや、これからやりたいことについて活発な議論の時間が持たれました。

最後には、来年の統一地方選に出馬を予定しているお二人の候補からメッセージがあり、市民参加型の政治について言及されました。

 

「変化のすべては身近な地域から。」

九州編では、その尊さを、足を運んだ全ての地域で再確認することが出来ました。

各地域でコラボさせて頂いたみなさん、本当にありがとうございました!

 

2023年も、各地に私たちが直接伺います。

引き続き、議員ウォッチ47をご注目ください!