2025年1月24日に始まった第217回国会から第219回国会(~2025年12月17日)までの、核兵器を巡る課題について、日本の国会における議論の動向を振り返っていきたい。
2025年1月24日から6月22日まで行われた通常国会では、前年に日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことや、同年8月が被爆80年の節目に当たることなどを踏まえ、核兵器禁止条約(TPNW)の締約国会議に日本がオブザーバー参加する事を巡る議論が活発に行われた。しかし会議に先立つ2月18日、岩屋毅外相は日本としてオブザーバー参加を見送ることを表明した。これに対し国会では「被爆者にヒアリングもせずに出席を見送るなど、歴史に背を向けている行為である(3月4日、櫛渕万里(れいわ)衆議院本会議)」や「被爆者や国際社会の期待を裏切るものだ(3月27日、吉良よし子(共産)参議院予算委員会)」など政府を厳しく批判する声が相次いだ。また、一貫して政府が被爆者や被爆地の意見を聞かずに参加見送りの判断をしたことが活発に指摘された。
4月末から5月上旬にかけて行われた核不拡散条約(NPT)の第3回準備委員会へは岩屋毅外相が出席し、核兵器のない世界に向けた演説を行った。しかし、核兵器禁止条約については一切触れなかったことから、これについて国会で批判が相次いだ。
一方、被爆から80年に当たる8月6日を目前に、「日米両政府の定例協議で核兵器を使用するシナリオを議論していたことがわかった(7月27日中国新聞)」や「演習において中国が核使用を示唆する発言をしたという設定がされ、自衛隊が米軍に対して核の脅しでの対抗を再三求めた(7月28日中国新聞)」といった報道が出た。これに対し石破茂首相は国会で「そのような事実はない」と否定している。
10月に自民党の総裁選を経て、高市早苗首相が誕生した。新内閣発足から間もなく、非核三原則の「もち込ませず」の撤廃が検討されていることが報じられた。高市早苗首相と斉藤哲夫代表(公明)の党首討論では「唯一の戦争被爆国の日本が非核三原則を見直すようなことがあっては、核廃絶は夢のまた夢だ(11月26日、斉藤哲夫 国家基本政策委員会合同審査会) 」と主張し、高市早苗首相が質問趣意書への答弁書に見直しの含みを残していたことを踏まえて論戦した。
またその後の国会では「非核三原則を守り抜き、被爆者の思いに応える日本は核兵器禁止条約に関与するべきだ(11月28日、三上えり(立憲)参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会)」をはじめ、非核三原則を国是として保持するのかについてや、翌年に控えた核兵器禁止条約の再検討会議への参加の可否につての質問が相次いだ。しかし第219回国会では「非核三原則や核兵器禁止条約は重要だが、力なき正義は無力である(11月28日、石橋林太郎(自民)衆議院外務委員会)」など、核兵器を是正しているとも読み取れる発言が登場している。