ローマ教皇の被爆地訪問と日本の国会議員の反応について

2019.12.24

ローマ教皇フランシスコは11月24日、被爆地・長崎と広島を訪れ、核兵器廃絶と平和へのメッセージを発しました。教皇の両地でのメッセージと、それに対する安倍首相はじめ日本の国会議員の反応をまとめました。

ローマ教皇は以下のように被爆地で述べました。(カトリック中央協議会WEBサイトより
「核兵器禁止条約を含め、核軍縮と核不拡散に関する主要な国際的な法的原則に則り、たゆむことなく、迅速に行動し、訴えていきます。(中略)核兵器のない世界が可能であり必要であるという確信をもって、政治をつかさどる指導者の皆さんにお願いします。核兵器は、今日の国際的また国家の安全保障への脅威に関してわたしたちを守ってくれるものではない、そう心に刻んでください。」(長崎にて)

「戦争のために原子力を使用することは、現代において、犯罪以外の何ものでもありません。核兵器の保有は、それ自体が倫理に反しています。(中略)思い出し、ともに歩み、守ること。この三つは、倫理的命令です。これらは、まさにここ広島において、よりいっそう強く、より普遍的な意味をもちます。現在と将来の世代が、ここで起きた出来事を忘れるようなことがあってはなりません。」(広島にて)

安倍首相はローマ教皇との面会で、「日本とは、唯一の戦争被爆国として『核兵器のない世界』の実現に向け、国際社会の取り組みを主導していく使命を持つ国」と強調し、「私たちはこれからも、核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、双方の協力を得ながら対話を促す努力において決して倦(う)むことはない」と語りました。(2019年11月26日、朝日新聞)

菅官房長官は翌日の会見で、「日米安保体制の下で核抑止力を含めた米国の抑止力を維持、強化していくことはわが国の防衛にとって現実的で適切な考え方だ」と述べました。(2019年11月29日、共同通信)

衆参議員の(ネット上で確認できた)主な発言を、以下にまとめます。
石原伸晃議員(自民、衆議院、東京8区)
「長崎・爆心地公園でのスピーチで、フランシスコ教皇は核兵器によってもたらされる平和を「偽りの平和」と述べ、相互不信を乗り越えて互いに信頼し合うことの大切さを訴えられた。唯一の核被爆国であるわが国から教皇のこのメッセージが発せられたことの意義は限りなく大きい。」

猪口邦子議員(自民、参議院、千葉)
(上記の石原伸晃議員のツイートをリツイートして)「軍縮・不拡散外交を!」

亀井亜紀子議員(立憲、衆議院、比例中国ブロック)
「ローマ教皇が広島、長崎を訪問し、核兵器廃絶に向けて強いメッセージを発した。唯一の被爆国でありながら昨年、核兵器禁止条約を批准しなかった日本。安倍総理は核廃絶を目指すような発言をしていたが、空々しく響いた。その場しのぎの嘘が多い総理。せめてローマ教皇の前では嘘をつかないで欲しい。」

早稲田夕季議員(立憲、衆議院、神奈川4区)
「ローマ教皇が40年ぶりに来日され、被爆地広島・長崎でスピーチ。「核戦争の脅威で威嚇することに頼りながらどうして平和を提案できるか」核兵器禁止条約に批准しない総理はなんと答えるのか。」

田島麻衣子議員(立憲、参議院、愛知)
「核兵器や大量破壊兵器を所有することは、平和と安定の望みへの最良の答えではない。次世代に対して安定と繁栄を受け継ぐ今世代の責任は、国家間の意思疎通や外交・教育に、もっと戦略的に資源と才能を充てる事と思います。」

森本真治議員(国民、参議院、広島)
「「核戦争の脅威で威嚇することに頼りながら、どうして平和を提案できるのか」
絶対悪の核兵器で平和を維持することを批判された教皇台下。直接お話しを聞かせていただいた幸運と広島の人間としての使命を再確認。平和の集い後、終了後の慰霊碑を前に決意を新たに、広島から核兵器の廃絶を訴えていきます。」

笠井亮議員(共産、衆議院、比例東京ブロック)
「(略)ローマ教皇のよびかけと2005年の衆院国会決議ふまえ、核兵器禁止条約に署名・批准を!SDGs目標達成へ、気候変動や貧困対策等のため国際連帯税導入を!日本政府は本腰あげるとき!」

議員ウォッチが確認した発言は以上ですが、これ以外にも議員の発言などがあれば、ぜひ情報を寄せてください。

なお、12月12日付けで日本カトリック司教協議会が内閣総理大臣に対して核兵器禁止条約への署名・批准を要請しました。教皇の長崎・広島でのメッセージに促されての対応としています。

                                (写真:2019年11月24日 広島)