10月25日、核兵器禁止条約が発効要件である批准国50ヵ国を達成し、同条約が来年1月22日に発効することが決まりました。このことを受け、各政党や国会議員がどのような声明や意見を表明したのかをまとめました。議員ウォッチとして分かる範囲でまとめましたが、もし追加の情報がありましたら、皆さまどうぞお寄せください。
政府
菅義偉首相
参議院予算委員会(11月5日)
「わが国の立場に照らし、条約に署名する考えはない」。締約国会議のオブザーバー参加にも慎重な考えを示した。
加藤勝信官房長官
記者会見(10月26日)
「核兵器禁止条約は我が国のアプローチとは異なる。署名は行わないという考え方に変わりはない。」締約国会議へのオブザーバー参加について「具体的に言う状況にはない。慎重に見極めていく必要がある」
茂木敏充外務大臣
会見記録(10月27日)
「我が国を取り巻く安全保障環境と、一層の厳しさを増す中、抑止力の維持・強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に現実的に、核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切であると考えている」
岸信夫防衛大臣
山口市 記者団に対し(10月25日)
「核の保有国が加われないような条約で、有効性に疑問を感じざるをえない。核の保有国を含む国々が廃絶に向けた具体的な動きを示すことが大切で、国際社会が合意できるような環境を作っていかなくてはいけない。(日本の核兵器禁止条約への加盟については、)国として判断していくことになる」
自民党
柴山昌彦幹事長代理
NHK日曜討論(10月25日)
「現実味が非常に薄い。理念は共有するが実効性の確保や工程表の面で現実味が薄いことから批准を保留してきた」と政府の対応を説明し、「これまでの議論を踏まえつつ対応すべきだ」とした。
公明党
〈政党声明〉「【主張】核禁止条約 発効へ 日本は保有国との橋渡し役に」より(10月28日)
「(核兵器禁止条約は)停滞する核兵器廃絶に向けた議論の再活性化を強く促すものだ。わが国の被爆者の訴えが、国際的な法規範として結実する意義は大きい。しかし、核兵器保有国が条約に反対し、(中略)北大西洋条約機構(NATO)諸国や日本も条約を批准しない方針だ。ただ、日本も核保有国も核軍縮が進んだ最終段階では核兵器禁止条約は必要との考えである。その意味で批准国との対話の門を開くことは可能である。まずは両者の溝を埋めていく作業が必要であり、唯一の戦争被爆国である日本が橋渡し役を積極的に担うべきである」
石井啓一幹事長
NHK日曜討論(10月25日)
「日本政府は積極的に関与してほしい」とし締約国会議へのオブザーバー参加を促した。
立憲民主党
〈政党声明〉「核兵器禁止条約の発効見込みに際して(コメント)」より(10月25日)
「核兵器禁止条約に関しては、核保有国が不参加であることなど、実効性が指摘されているが、政府は、核兵器廃絶の動きが新たな段階に入ったことを理解し、 日本が一日も早く批准できるよう積極的に取り組んでいくべき」
枝野幸男代表
ツイッター(10月25日)
「核兵器禁止条約の発効が確定しました。発効に向け積極的に取り組んだ、世界中の若者やNPOの皆さんに心より敬意を表します。立憲民主党は、核廃絶を求める世界の人々とともに歩み、日本が一日も早く核兵器禁止条約に署名できるよう、積極的に取り組んでいきます」
福山哲郎幹事長
NHK日曜討論(10月25日)
「アジアの安全保障や北朝鮮の状況を考えると、核の傘との両立をどうするのか。非常に難しい」
泉健太議員
ツイッター(10月25日)
「ニュース速報でも報道されました。核兵器禁止条約が発効になることに祝意を表し、やはり理想論で終わらぬよう、米中露はもちろん核保有国への核軍縮へのアプローチを強めてまいります。」
原口一博議員
ツイッター(10月25日)
「ホンジュラス共和国で発効に必要な50に達した。いよいよこれで核兵器禁止条約が発効する。批准国がついに50か国になったことの意義は、果てしもなく大きい。史上初めて、核兵器が違法な時代に入ったことになるからだ。日本政府も一刻も早く批准手続きに入るべきだ」
塩村あやか議員
ツイッター(10月25日)
「さあ、日本はどうする。参加に向けて以下のことを!①どんな条件なら参加できるのかを政府は明らかに②締約国会議にオブザーバー出席する」
日本共産党
委員長コメント「核兵器禁止条約の発効の確定を心から歓迎する」(10月25日)
「広島・長崎の被爆者をはじめ「核兵器のない世界」を求める世界の圧倒的多数の政府と市民社会が共同した、壮大なとりくみの歴史的な到達である。日本共産党は、核兵器廃絶を戦後一貫して訴え、その実現のために行動してきた党として、心から歓迎する。(中略)日本政府が、禁止条約に背を向け続けていることは、唯一の戦争被爆国としてきわめて恥ずべきことである。(中略)日本政府は従来の態度をあらため、すみやかに条約を署名し批准すべきである。日本共産党は、市民と野党の共闘を発展させ、条約に参加できる新しい政府をつくるため、全力をつくす。」
小池晃書記局長
NHK日曜討論(10月25日)
「大変うれしいニュースだ。史上初めて核兵器を違法化する条約が実現する。しかも核兵器の使用のみならず、開発も、実験も、生産も、保有も、威嚇も全面的に禁止する中身だ。核なき世界への大きな一歩を心から歓迎したい。」ICAN事務局長のコメント(日本が政策転換すれば世界にとてつもない衝撃を与え、歴史を変える瞬間になる)にふれ「国際社会は核兵器廃絶か、それとも固執するのか、そこに二分されている。核兵器廃絶の大きな流れが一歩進み始めたわけで、日本の立ち位置が問われている。唯一の戦争被爆国として日本の政府が核兵器禁止条約に一刻も早く署名・批准することを求めていきたい」
日本維新の会
NHK日曜討論(10月25日)
馬場伸幸幹事長
「(核兵器禁止条約の発効決定について)歓迎すべきだ」「締約国会議に出席し自らの役割を果たしてほしい」
国民民主党
NHK日曜討論(10月25日)
岸本周平幹事長代理「条約に参加すべきだ」
国連
アントニオ・グテーレス国連事務総長
事務総長報道官を通じてコメントを発表(10月24日)
「核兵器禁止条約の発効は、核兵器の使用が壊滅的な人道的被害をもたらすことに対する関心を集めるため、これまで積み重ねられた全世界的な運動の成果です。また、国連にとって最優先の軍縮課題である核兵器の全面的廃絶に向けた意義深いコミットメントです」
中満泉軍縮担当上級代表
毎日新聞(10月26日)
「日本が締約国会議に「オブザーバー参加」するかは日本政府が決めることだが、核兵器禁止条約はNPTに矛盾するのではなく補完するものだ。核禁条約に背を向けずに参加を検討し、核廃絶のため、どのような役割を果たせるのか各国と議論を深めてほしい」