2021年2月の核兵器禁止条約についての国会質疑をまとめました

2021.05.05

2021年2月の国会質疑をリサーチしました。その結果、以下の発言と答弁書が1件ずつしか見つかりませんでした。(「国会会議録検索システム」にて、「核兵器禁止条約」と入力し、検索を行いました。)それぞれ紹介します。(引用は要旨)

第204回国会 衆議院 予算委員会 第15号 2021年2月22日
【 議事録の対象箇所はこちら

斉藤鉄夫衆議院議員(公明党):核兵器禁止条約が発効されて1ヶ月がたった。今、核軍縮、核廃絶に向けて世界の機運が変わってきていると思う。核軍縮・核廃絶への国際協調の枠組みづくりを日本が先導することが重要ではないか。

菅義偉内閣総理大臣:核軍縮の進め方には、各国で立場の違いが見られる。核兵器のない世界の実現には、核保有国を巻き込んで核軍縮を進めることが不可欠だ。引き続き立場の異なる国々の橋渡しを努めて、核軍縮に向けた国際的な議論に貢献したい。

斉藤議員:これまでの賢人会議の経過を踏まえ、核抑止に代わる新しい安全保障の基盤を考えることを日本がリードしていくべきだと考える。また、NPTと核禁条約、両輪になるだろう。そのNPT運用検討会議は今年8月に行われ、広島、長崎の原爆の日とも重なっている。日本がこの会議の成功に向けてリーダーシップを取るべきではないか。

茂木敏充外務大臣:NPTの第6条において、核兵器国の核軍縮に向けた誠実交渉義務を定めている。しかし、交渉はするが、実際にどう進めるかという段になると、国際社会における意見の相違が大きい。また、「現実の安全保障上の脅威にどういう形で対応していくか、極めて重要な問題指摘だと思っておりまして、安定的な形で核に頼らずそういうことができるというのが望ましいと思っておりまして、そういった検討は進めなければいけないと思っております。」(原文ママ)NPTに基づく核兵器の核軍縮が進展するよう、国際的な議論にも積極的に貢献をしていきたい。

斉藤議員:公明党は、核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加をするべきだと主張している。核兵器禁止条約に入るか入らないか、単に二者択一という話ではなく、議論の場に日本が参加することを通して、最終的にはこの核兵器禁止条約に日本が署名をする環境、土壌をつくっていくことが重要だ。核兵器の問題は、世界平和だけでなく地球環境問題とも密接に絡んでいるため、SDGsの進捗と歩調を合わせ、核兵器のない世界の実現に向けて議論をするべきではないか。

菅総理:我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードするという使命を有している。国際社会では、核兵器のない世界の実現という目標は広く共有されているが、SDGsのように達成の時期は定められていない。核軍縮の進展に向け、立場の異なる国々の橋渡し役に努めていく。

第204回国会 衆議院 本会議 第6号 2021年2月1日

核兵器禁止条約への日本の参加に関する質問主意書が提出されました。提出したのは、今井雅人衆議院議員(立憲民主党)で、菅義偉内閣総理大臣が答弁書で回答しました。(以下、要旨。全文はこちらから。官報の画像も掲載します)

今井雅人衆議院議員(立憲民主党):米国の核の傘に頼る国の中でも核兵器禁止条約に肯定的な動きが出てきている。核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みをリードする使命を有しているとする日本はこのような変化がある中でも同条約に参加しないのか。
同条約が目指す核廃絶というゴールを共有しているのであれば、同条約参加への障壁となっている課題が解決されれば参加できる。そのために解決しなければならない課題は何か。その課題を解決するための具体的取り組みとして何を行うのか。
核軍縮の進展に向けた国際的な議論に積極的に貢献していくとする日本は、同条約締約国会議にオブザーバーとして参加しないのか。 

菅義偉内閣総理大臣:同条約は我が国と核兵器廃絶という目標を共有しているが、核兵器国や核の脅威にさらされている非核兵器国から支持を得られていない。現実の厳しい安全保障環境の下では核を含む米国の抑止力に依存することが必要である。核兵器の非人道性と安全保障を考慮しながら現実的で実践的な核軍縮の措置を行うことが重要である。我が国の立場を踏まえ同条約に署名する考えはなく、締約国会議へのオブザーバー参加は慎重に見極める必要がある。核軍縮の進展のため国連での核兵器廃絶決議に関わる取り組みや「軍縮・不拡散イニシアティブ」における取り組み等を引き続き行う。 

以上です。関連の情報をお持ちの方は、議員ウォッチまでお知らせください。