2021年5月の核兵器禁止条約についての国会質疑をまとめました。

2021.09.13

核兵器禁止条約が発効した2021年5月の国会質疑をリサーチしました。その結果、以下の発言が1件見つかりました。(「国会会議録検索システム」にて、「核兵器禁止条約」と入力し、検索を行いました。)ご紹介します。(以下、要旨)

第204回国会 衆議院 外務委員会 第13号 5月14日
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佐藤茂樹衆議院議員(公明党):イギリスは、保有する核弾頭の上限を現状の180発から260発と44%引き上げた。他国による核兵器の増加と多様化などを理由に挙げているが、報道では、台頭する中国やロシアに対抗する狙いだと言われている。今回の核弾頭の上限の引上げは、冷戦終結以降続いてきたイギリスの核軍縮の流れを変えるもので、核政策の転換とも言われている。また、イギリスが加盟している核不拡散条約は、第6条で、核保有国に核軍縮に向けて誠実に交渉を行う義務を定めている。イギリスの新方針は、この第6条の考え方に背を向けるもので、NPT体制を弱体化させるものではないかと言われている。今年1月には、核兵器の開発や保有、使用を禁じる核兵器禁止条約が発効して、批准国も徐々に増え、核なき世界を目指す声が徐々に高まっている中でイギリスが核弾頭の保有増を発表したことは、核軍縮の流れに逆行するものだと我々は捉えている。これがイギリスだけにとどまらず、ほかの保有国も刺激して軍拡競争にならないように対応しなければいけないと考えているが、唯一の被爆国である日本政府として、このイギリス政府の核弾頭保有増の表明についてどのように認識されているのか。また、先日の日英外相戦略対話では日本の考え方を伝えたのか。

茂木敏充外務大臣:日本の考え方はしっかり伝えた。また、イギリスの核体制の見直しと、NPT体制に対するコミットメントがなくなるということは全く別だ、という説明である。イギリスは、今回の変更の背景として、一部の国において核兵器の著しい増強、多様化が進められ、新たな技術の開発や核ドクトリンの脅威が高まっているなど、安全保障環境が変化しているとの認識を示して、自国及びNATO同盟国のために最小限必要な核抑止力を確保するため、保有核弾頭数の上限を引き上げる方針となった、と説明している。我が国としては、NPTの規定に従って、関係国に対して一層の核軍縮努力を促していく。5月3日の戦略対話でも、私からラーブ外相に対して、唯一の被爆国として、核軍縮の必要性をしっかりと訴え、次回NPT運用検討会議に向けて緊密に連携していくことを確認した。

佐藤議員:日本政府の政策として、核保有国と非核保有国との橋渡し役を一貫して言われているので、こういう一つ一つの動きに、たとえ準同盟国であろうとも、言うべきことはしっかりと言っていくことが大事ではないかと思う。

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