議員ウォッチ47で岩手県を訪ねています

2023.04.27

議員ウォッチは、統一地方選・核兵器禁止条約の第2回締約国会議に向けて、各地元団体(パートナー団体)とタイアップして、メンバー(主に大学生)が47都道府県を訪ねるキャンペーン「議員ウォッチ47」を始め、四国編、近畿編、九州編、中部編、北海道編、中国編と走ってまいりました。東北編は、秋田県に続き、岩手県を高橋悠太さんが訪ねました。

第31回 岩手県
【4月20日】
10:00~ 核禁条約批准を求める岩手の会との意見交換
11:45~ 昼食
13:00~ 小西寛さんとの意見交換
14:00~ 盛岡市議団との意見交換
16:00~ 立憲民主党 岩手県議会議員団との意見交換

【核禁条約批准を求める岩手の会との意見交換】
リサーチャーの高橋悠太さんが、「日本政府に核兵器禁止条約への批准を求める岩手県民の会」の主要団体のみなさんと意見交換しました。参加されたのは、岩手県被団協さん、岩手県原水協さん、岩手県生活・・・、いわて・・・、岩手・・・さんです。前身は、「ヒバクシャ国際署名を推進する会」です。過去には、高橋悠太さんもオンラインで講演をさせていただいた経緯があります。岩手・・・の及川さんが、窓口となり、今回の訪問をコーディネートしてくださいました。

岩手県は、2020年3月19日、岩手県大船渡市議会は、日本政府に核兵器禁止条約に署名・批准することを求める意見書を賛成13、反対4の賛成多数で可決しました。これにより、岩手県および岩手県内33の全市町村の議会が、日本政府に核兵器禁止条約に加わることを求める意見書を可決したことになります。県内全自治体での可決は全国唯一です。詳細は、こちらの議員ウォッチニュースから。

まずは、各団体の活動をご紹介いただきました。それぞれの取り組みの中で、「どうやったら若い世代にリーチできるのか」などの課題が出されました。また生協の関係者からは「これまでと違う趣の平和を考えるイベントをやると好評の声もあるが、年配層を中心に不十分だ、という意見も寄せられ、どう考えたらいいのか」というご発言もありました。「世代、経験によって、感じ方はそれぞれです。ただ優先すべきはこれまで関心のなかった世代が関わってくれることだと思いますので、まずは自信をもって進められたらいいと思います」とお返事しました。

私からは「議員ウォッチ47」の概要をお伝えして、若い世代を中心に、核兵器廃絶の取り組みに、ジェンダー平等や気候危機の視点が増えていることを紹介しました。みなさんと今後の運動の在り方など幅広い議論をすることができました。

お昼に、高校生平和大使の世話人を務めておられる小西寛さんとご一緒しました。岩手県からの高校生平和大使の選出は、現在13代目です。もともと高校生平和大使は、主に長崎や広島、関東圏を中心に選出されていましたが、2011年の東日本大震災以降、岩手県でも選出が始まったそうです。それを皮切りに、東日本の各県でも選出されています。ここ数年は、岩手県内の各学校の生徒会を経由して、署名を集めておられるそうです。

【意見書の県内全自治体採択の要因はなに?】
それらの対話の中で、上記の意見書採択が、全市区町村で実現できた理由を関係者の皆さんに伺うと、以下の5点が明らかになりました。
①被団協、原水協、生協などの各組織のネットワークが、国際署名連絡会に集い、それを活かし、全県レベルで運動がなされた。
②上記関係者の教え子や知り合いの議員を通じて、意思決定に関与できた。
③議会の勢力図は、自民系も勢力を強めてきているが、立憲民主系がもともと強い。
④意見書採択が加速したのは2017年~2019年ですが、保守系から脱退した小沢一郎衆議院議員が、立憲民主党に合流した2019年。それまでは、小沢議員やその周辺の力も意見書採択に影響した。
⑤震災や原発事故が反核・平和の意識を強めた。

もちろん他の要素も多分にあると思いますが、岩手独自の要素は以上のようなポイントだと思います。各地域で、何をどう活かせるか、まだまだ考える余地があるなと感じました。

ただ最後の採択が2020年3月の大船渡市でのもので、そこから時間が経過し、それぞれの自治体の意識も変化していると予想されます。そこにコロナを挟み、採択はしたが、その後どうなっているのか、チェックが必要だ、と及川さんは話されていました。また、「それに基づく行政施策が意義あるものとして運用されているかも確認が必要だ。パネル展などやっている自治体もあるが、コロナで、どういう状況になっているか、わからない町もある」とおっしゃっていました。

【盛岡市議団との意見交換】
盛岡市議会議員の

野中議員は、「意見書を採択はしているが、現状、日本政府に批准を求めるというところまで機運は高まっていないと感じる。自民党中心会派をどう切り崩していくか、が課題。市民のみなさんに訴える取り組みが必要かと思う。身近な課題としては、福島の汚染水の海洋放出が間近に迫っているので、漁業関係者のみならず、沿岸部の住民の中にも懸念があることを広く伝えたい」という発言がありました。

日本高等学校教職員組合の柳田さんは「日本高等学校教職員組合として、長崎平和の旅を行い、平和大使などとも連携を図ってきた。今年も継続したい。岩手県での平和を考える集いが、10周年」を迎えることなどの紹介がありました。

 

【立憲民主党岩手県議会議員団との意見交換】
ご参加いただいた議員は次の通りです。

第一会派 柳むらまこと?
副代表 小西かずこ
副幹事長 さとうけいこ
幹事長 かんべひろのり
幹事長代行 やすかわしんぎ
副代表 ごうこんひろし

岩手県で、核兵器や平和の問題がどのように認識をされているのか、どういう取り組みがあるのかを話しました。

締約国会議も開催され、再び意見書採択の可能性はあるのか、とお訪ねすると、佐藤議員からは「意見書採択にもう一度取り組むべきという声もある。ただ、採択の可否は、議会の数の状況による」と返答がありました。また郷右近議員からは「行政が全県単位で、例えば意見書採択や平和の事業のような統一の施策をする、ということはなかなか難しい」と認識を示され、高橋さんから「平和という大きな入り口の中で、気候変動などと抱き合わせで施策化することはできないか?」と尋ねると、「気候変動は入りやすい。SDGsとの兼ね合いもある。政治的になり過ぎない。生活に近い」との前向きな認識を共有されました。

議員の中からは「若い世代の声が広がれば、議会での取り組みも広がるかもしれない」というコメントがありました。それに対して、高橋さんから「若い世代の意識の問題に矮小化してはいけない。現在の制度を作ってきた先行世代の問題であるし、それをともに議論するための決定権が若い世代に必要だと思う」とお話しました。

高校の教員であった柳田さんからは、「若者の投票率が低いと言われるが、大人や教育の責任も多いと思う。主権者教育を高校生でのみやっているが、小中高から段階的にやっていかないといけない。パンフレットみたいなのものは出ているが、どう現場におろすか、政治を教育現場で教えられないと思っている先生も多い」と話され、それに付随して、「広い岩手の中で、実態把握のための情報交換や、新たなアイディアが必要だろう。戦争体験者の減少の中で、どう残していくか。正確に残すことも地域の課題になる」などの意見が出されました。

最後に、幹事長のかんべ議員から、「議会としての取り組み、議員の取り組み、政党の取り組みと3つに分けられるだろう。2年前の請願採択は自民以外の議員が、賛同した。大方の会派・議員が、核兵器廃絶には賛同するだろうと見ている。議員個人がどういう意見表明しているのかが見えないというのも、ネックだ。議員が自発的に、市民団体の集いに顔を見せ、話をするのは重要だろう」などのコメントをしました。

現場からの報告は以上です。最後に、コーディネーターの及川さんと、「議員ウォッチ47」において、現地の多様な世代の世代の参加ができたらいいね、という話にもなりました。今回は初回でしたので、このイメージをベースに、さらに取り組みを継続していきたいと思います。岩手のみなさん、本当にありがとうございました。